写真家・吉田航太のブログ

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ラジオと全国、季節、人生

 普段、作業しているときは音楽をかけることも多いが、ラジオを聞いていることが多い。今は、アプリで月数百円でタイムフリー、エリアフリーで全国のラジオがいつでも聴けるので、すごくいい。夜行バスの中で聴くのが一番格別である。移動時間は何をしていても心地よいのであるが。今晩は、松山千春のon the radioを聴いていて、普段は札幌テレビ放送からであるが、今日はライブ先の富山県で北日本放送からの放送であった。放送内で松山千春が「僕は47都道府県に思い入れがある」と言っていた。ライブでくるくると全国を周り、またプライベートでももちろんあちこち動くのであろう。そして、松山自身は今も生まれ故郷、北海道に拠点を置き、いつも「新千歳空港から出発して」という表現をよく使っている。だから、彼が「地方」という言葉を使ったことがあまりないように思う。

 アーティストは既知の通り関東拠点の人が多いが、ライブに出かけることを「地方に出かけて」と言う。そもそも「地方」という言葉のそのものの意味は単にエリアを指すものである。イギリスの詩人ウィリアム・ワーズワースが愛した「湖水地方」のような。つまり、別に田舎というようなニュアンスはそもそもなかったはずなのに、いつしかそんな意を含んでいるように思う。僕はあまり好きな表現ではない。

 話は戻るが、松山は北海道を拠点に置きながら、東京でも仕事にプライベートに頻繁に出かける。というか、どの場所にも新千歳空港からフレキシブルに週に何度も月に何度も動く。今年だったと思うが、機械トラブルで飛ばなくなった新千歳空港の飛行機機内で歌を歌ったのは記憶に新しい。だから、彼にとって鹿児島は地方とは言わず、鹿児島であって、東京は都会ではなく東京なのである。それで47都道府県を認識している。と勝手に思っている。そして、隔たりなく行き来をしている。そうやって身軽に北海道から沖縄まで移動しながら、その土地に住む友人に会い、その土地を味わい生きてゆくのは憧れである。

 高校卒業まで佐渡島に住んでいたときは、陸路で繋がっておらず航路だったため、年に数回、島外に出かけ帰るたびに物理的な隔たりを身を以て感じていた。出かけた先でも、「もう来ないかもしれない。」「ここにはめったに来られない。」という具合であった。だから、毎度帰路はセンチメンタルと言うか悲しい気分だった。けれど、島を離れ数年が経った今、お金のことは抜きにして、国内国外いつでもどこでも行けるという感覚になっている。そして、それの方がずいぶんと気が楽で、出先の滞在も帰る直前まで楽しくいられ、悲しくなることはない。無理にお土産をせっかくだからと買うこともしなくなった。またすぐに来れると思うからである。その方が、フラットにその土地を眺め、味わえていいと思っている。

 新潟で育ったので、北陸のあの辺りの冬の感じやにおいも知っている。今、住んでいる鳥取の四季も知っている。住んでいたことがある東京もしかりである。また旅した都道府県も何十とあるから、行ったタイミングの季節の良さが自分の中に残っている。そのどれもが二つとして同じものはなく、僕は好きである。夏になるとなんとしてでも高知のよさこいを見に撮りに行きたくなるし、ひろめ市場でカツオの叩きを食べてしまえば、他でカツオを食べたくなくなる。高知で食べたいと思う。鳥取の大山のソフトクリームも捨てがたい。寿司はやっぱり佐渡島が一番いいから他でチェーン店で佐渡島に劣るものを食べるくらいならそのお金でラーメンを食べたいと思う。食べ物が真っ先に出て来たが、もちろん、その土地土地を写すことが一番好きである。観光地にはめっぽう興味がないので、ただひたすらに歩いて写真を撮って、土地の人と話して、その土地のものを食べてビールを飲むで120%満足な旅になる。日本はもちろん、アメリカでもそうだった。だから、その土地の観光地は知らないけど、通りかかった公園で会った人が話していたその土地の魅力は知っている。それは写真を見ても蘇ってくる。そういった具合である。そうやってまた再び訪れた地で、以前訪れた記憶が蘇り、その時考えていたことを思い出し、そしてアップデートされてまた帰路に着く。その繰り返しをしていけるのは人生の楽しさである。

 松山千春の好きな曲のなかに「季節の中で」がある。その中に「巡る季節の中であなたは何を見つけるだろう」という一節がある。北海道も離島と言えば離島である。この曲もずいぶん前の曲であるが、四季の回転が早い北海道からまた違った四季溢れる島外に出れる喜びと好奇心を若い松山は大事にしていたのかもしれない。秋の富山の名峰、立山連峰。市内から眺めるのもいいけれど能登半島から眺めるのも好きとラジオ内で話していた。佐渡島に住んでいた頃、行く先を想像してワクワクしながら島外に向かうフェリーから海を眺めていた時の気持ちを忘れず、巡る四季を全国で味わって生きたい。

佐渡島の航路佐渡汽船より新潟市内を眺める
佐渡島の航路佐渡汽船より新潟市内を眺める
| 吉田航太 | - | 23:50 | comments(0) | -









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